個人事業で許可を受けています。法人成りをして許可を継続できますか?

「法人成り新規」申請をしましょう

個人事業者として取得した建設業許可はその事業主本人限りです。あくまでその個人に与えられているものですので、事業を法人化する際に、その許可を引き継ぐことはできません。個人の許可について廃業届を提出すると同時に、改めて法人として新規許可申請を行わなければならないということです。

なお、法人成り新規申請は、個人許可番号の引き継ぎが可能であるかどうかなど、各都道府県によって対応がかなり異なってきますので、事前に行政の窓口や専門家である行政書士に相談されることをお勧めします。

法人化する時に注意する事とは?

個人から法人成り新規申請を行うには、その前段階として会社設立をすることになりますが、その際にいくつか注意する事があります。例えば、

  • 設立時の資本金が許可要件である財産的基礎を満たしているかどうか

会社法の規定では資本金1円から株式会社の設立は可能ですが、建設業許可の財産的要件は、自己資本額で証明する場合、「500万円以上」となっていますので、資本金額の設定に注意しなければなりません。

  • 定款の事業目的に申請しようとする建設業の業種が明記されているかどうか

会社を設立する際に定款を作成することになりますが、この定款の事業目的として許可を取得しようとする建設業の業種を具体的に明記しておかなければなりません。現在行っている工事の業種はもちろんのことですが、今後の業務展開も考えて、将来的に行っていきたい業種も併せて記載しておくといいでしょう。

  • 経営業務の管理責任者(経管)が役員の中に入っているかどうか

経管であった個人事業主が事業承継等の理由で役員に入らない場合などは、経管の要件を満たす人を役員に入れましょう。

以上の点をしっかりと準備しておりませんと、後になってから定款の変更、そして変更登記を行わなければならなくなり、手間だけでなく、費用も余計にかかることになってしまいます。あくまでも建設業許可を取得する前提としての会社設立ですので、事前に申請する内容と登記事項を合わせておくことが大事です。

また、個人事業からの法人成りですと、法人化後も個人事業主が1人取締役となっている場合がありますが、将来的な事業承継も視野に入れて、ご子息などの後継者を取締役に就任させて、経営業務の管理責任者の要件を満たせるようにしていくことも大切です。

このように法人化の際には、将来を見据えた組織作りを行ったり、今後の業務展開を考えて、他の業種も同時に申請することなども考慮していく必要があるでしょう。

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山地博晃