建設業許可には29業種があり、その中でも「塗装工事業」は、建物の外壁や屋根、内装の塗装など、建物の保護と美観を保つために重要な業種です。
「自分の仕事は塗装工事業に該当するのだろうか?」
「建設業許可を取得するための要件を満たせているのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、塗装工事業に該当する具体的な工事内容から、建設業許可を取得するための要件について分かりやすく解説します。許可取得を目指す方や、申請準備に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。建設業29業種について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
塗装工事業とは|6つの種類について
塗装工事業は、建物や構造物を保護し、美観を保つために行われる作業です。塗装工事業には、建物の外壁や屋根、内装だけでなく、橋梁や鉄骨構造物、道路の標示など、幅広い分野が含まれます。ここでは、塗装工事業の6つの主要な種類について詳しく解説します。
塗装工事業①|塗装工事
塗装工事は、建物の外壁や屋根、内装部分に塗料を塗ることで、防水性や耐火性を高める作業です。雨風や紫外線などの影響を軽減し、建物の寿命を延ばすことが目的です。また、デザイン性を向上させる役割も果たします。
使用する塗料は多岐にわたり、耐久性や色彩など、顧客のニーズに合ったものを選ぶ必要があります。さらに、塗装は時間とともに劣化するため、定期的な点検と塗り替えが求められます。
塗装工事業②|溶射工事
溶射工事は、金属やセラミックを高温で溶かし、対象物の表面に吹き付けて加工する技術です。この工事では、錆を防ぎ、耐摩耗性や耐熱性を付加することができます。
鉄骨構造や工場設備、船舶などの長寿命化に役立つ作業であり、使用環境に応じてアーク溶射やプラズマ溶射などの技術が選ばれます。腐食や摩耗の進行を抑えるために不可欠な工事の一つです。
塗装工事業③|ライニング工事
ライニング工事は、配管やタンクなどの内部に特殊な塗料を塗布することで、機能を回復させる工事です。給排水管が劣化した際に、取り換え作業を避けたい場合に選ばれる手法で、コストを抑えつつ配管を蘇らせることが可能です。
この工事は、特に建物の管理者やオーナーにとって、予算や工期の面で魅力的な選択肢となっています。錆や腐食を防ぐだけでなく、配管内部の流れをスムーズに保つ効果も期待できます。
塗装工事業④|布張り仕上工事
布張り仕上工事は、壁面や天井に布地を貼り付け、その上から塗装を施す作業です。耐久性のある布地を使用することで、内装の質感やデザイン性を高めることができます。
布の種類には、寒冷紗やレース、ヘッシャンクロスなどがあり、建物の用途や顧客の要望に応じて選びます。布をそのまま貼る方法と重ねて貼る方法があり、仕上げ方によって異なる雰囲気を演出することができます。
塗装工事業⑤|鋼構造物塗装工事
鋼構造物塗装工事は、橋梁やタンクなどの大型構造物の表面に塗膜を形成し、錆や腐食を防ぐ工事です。これらの構造物は、風雨や紫外線にさらされやすく、定期的な塗装メンテナンスが必要です。
塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3層に分けて行われ、それぞれの層が異なる機能を持っています。この多層構造により、耐久性と防護性能が高まります。
塗装工事業⑥|路面標示工事
路面標示工事は、道路にセンターラインや横断歩道、停止線を描く作業です。一見舗装工事と混同されがちですが、これは塗装工事業に含まれます。
特殊な塗料を使用し、耐久性と視認性を確保します。また、作業中は安全管理が重要であり、迅速かつ正確な対応が求められます。交通安全を支える重要な工事の一つです。
塗装工事業の基礎知識|元請・下請や業種区分について
ここからは、塗装工事業における基本的な役割や業種区分などの基礎知識について解説します。
| 発注者 | 建設工事の最初の注文者 |
| 元請負人 | 下請業者に工事を発注する責任を持ち、自ら建設業を営む事業者 |
| 下請負人 | 元請業者から工事の一部、または全部を請負う立場の事業者 |
| 下請契約 | 建設業者同士が契約を交わし、元請業者が受けた工事の一部または全てを他の事業者が請負う契約。 |
| 該当業種 | 建設業29業種の中の「塗装工事業」に区分される業種 |
| 工事種類 | 「塗装工事」として分類され、建物の外壁や屋根、内装の塗装、鉄骨や木材の防錆・防腐処理、路面標示工事などを対象とする工事。 |
塗装工事業において「元請」「下請」や業種区分の理解は、工事の発注や契約を進める上で欠かせない要素です。これらの知識は、事業者が正しい立ち位置や役割を把握するだけでなく、建設業許可を取得する際にも必要です。
塗装工事業の建設業許可を取得するためには【要件について】
塗装工事業で建設業許可を取得するためには、いくつか満たすべき要件があります。その要件として、以下の4つが挙げられます。
- 経営業務の管理責任者の要件
- 専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎または金銭的信用
特に重要なのが「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」に関する要件です。これらは塗装工事業における許可取得の軸となる部分であり、特に「専任技術者の要件」は、一般建設業と特定建設業で求められる基準が異なるため、正確に理解する必要があります。
ここからは、塗装工事業で建設業許可を取得するためのポイントを、初心者の方にも分かりやすく3つに分けて解説します。
- 建設業許可の4つの要件や、一般建設業と特定建設業の違いについて詳しく知りたい方は、別の記事で詳細に解説していますので、ぜひそちらもご参照ください。
【塗装工事業】経営業務の管理責任者の要件
塗装工事業で建設業許可を取得するためには、「経営業務の管理責任者」が必要です。この役職には一定の経営経験が求められます。
経営業務の管理責任者として認定されるためには、常勤役員等が次のいずれかの条件を満たす必要があります。「常勤役員等」とは、日常的に企業の経営に従事し、事務所に常駐して業務を行う役員、個人の場合は個人事業主、又はその支配人のことです。
- 建設業での経営経験が5年以上ある人
建設業において、経営者として5年以上事業の運営に携わった実績を持つ方。 - 建設業で5年以上、意思決定や業務管理に関わった経験がある人
会社の経営全般に携わり、取締役として業務の実行や意思決定に貢献した経験がある方。 - 権限を委任され、5年以上業務に従事した経験がある人
代表者から業務執行の権限を任され、実質的な経営責任を持って働いてきた方。 - 経営の補佐役として6年以上の経験がある人
経営者をサポートする立場で、6年以上にわたって建設工事全体の管理や経営業務に携わった実績がある方。
経営業務の管理責任者として認められるためには、5年以上の経営経験 または 6年以上の補佐経験 が必要とされます。
【塗装工事業】専任技術者の要件|一般建設業
専任技術者とは、施工技術や品質管理を営業所に所属し、技術的管理を行う重要な役割を果たす人物です。塗装工事業で一般建設業の許可を取得するためには、専任技術者が以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 学歴と実務経験
①高等学校または中等教育学校の指定学科(建築学、土木工学に関する学科)を卒業し、5年以上の実務経験があること。
② 大学(短期大学・高等専門学校を含む)の指定学科を卒業、または専門職大学の前期課程を修了し、3年以上の実務経験があること。 - 10年以上の塗装工事業に関する実務経験
学歴や資格がなくても、塗装工事業に10年以上従事した実務経験があれば、専任技術者の要件を満たします。 - 法令に基づき定められた資格の保有
対象となる資格
・一級土木施工管理技士
・二級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
・一級建築施工管理技士
・二級建築施工管理技士(仕上げ)
・塗装・木工塗装・木工塗装工(職業能力開発促進法「技能検定」)
・建築塗装・建築塗装工(職業能力開発促進法「技能検定」)
・金属塗装・金属塗装工(職業能力開発促進法「技能検定」)
・噴霧塗装(職業能力開発促進法「技能検定」)
・路面標示施工(職業能力開発促進法「技能検定」)
法令に基づき定められた資格の中には、取得後に一定の実務経験が必要なものもあります。例えば、「二級の塗装・木工塗装・木工塗装工」の場合、免状交付後に1年~3年以上の実務経験 が必要です。資格の種類によって求められる実務経験や試験要件が異なるため、事前に詳細を確認しましょう。
【塗装工事業】専任技術者の要件|特定建設業
特定建設業の専任技術者として認定されるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 法令に基づき定められた資格を保有していること
塗装工事業の対象となる資格:
・一級土木施工管理技士(建設業法「技術検定」)
・一級建築施工管理技士(建設業法「技術検定」)
- 一般建設業許可の専任技術者の要件を満たしているかつ、元請として4,500万円以上の工事で2年以上指導監督的な実務経験がある
- 国土交通大臣が同等以上の能力を認定した人
ここでいう「指導監督的な実務経験」とは、現場作業員としての業務ではなく、塗装工事の全体運営や管理を担う責任者としての経験を指します。このような経験が求められるのは、特定建設業の場合、高度な管理能力が重視されるためです。
例えば、商業施設の外壁塗装工事や橋梁の防錆塗装工事などの大型工事を元請として行い、現場全体の統括や施工計画の管理を行った経験が該当します。
塗装工事業の建設業許可を取得したい方は「やまじ行政書士事務所」へ
今回は、建設業許可29業種のうちの1つである「塗装工事業」について詳しく解説しました。塗装工事業は、建物や構造物の外壁塗装、屋根の防水塗装、内装の塗装、さらには防錆や防腐処理など、建物の保護と美観を維持するために欠かせない重要な業種です。これらの工事には、専門的な知識と高い技術力が求められます。
塗装工事業の建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者の要件
- 専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎または金銭的信用
これらの中でも、特に「経営業務の管理責任者の要件」や「専任技術者の要件」は複雑です。
また、建設業許可を取得するためには、これらの要件を証明するための書類を適切に準備し、申請することが必要です。
初めて申請する方や、忙しくて建設業許可の申請準備が進められない方は、「やまじ行政書士事務所」へお気軽にご相談ください。
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