愛知県の建設業許可|要件・申請先・費用と県独自の取り扱い

元請から「許可を取ってほしい」と言われて、これから建設業許可を取ろうとお考えの方に向けて、愛知県で申請するために必要なことを整理しました。

許可が下りるまでには、要件の確認、書類集め、県とのやり取りと、いくつもの段階があります。

そして愛知県には、他の都道府県では見かけない独自の取り扱いがあります。

ここを知らないまま書類を集め始めると、集めた資料が使えなかった、経験年数が足りないと言われた、ということが起こります。この記事では、そこまで含めてお伝えします。

愛知県で建設業許可が必要になるのはどんなときか

まず、すべての工事に許可が必要なわけではありません。軽微な建設工事だけを請ける場合は、許可がなくても営業できます(建設業法施行令第1条の2)。

工事の種類許可がなくてもできる範囲
建築一式工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または請負代金にかかわらず木造住宅で延べ面積150㎡未満の工事
建築一式工事以外1件の請負代金が500万円未満の工事

金額はいずれも消費税および地方消費税を含んだ額です。

注意していただきたいのが、この金額の数え方です。

一つの工事を二つ以上の契約に分けて請けるときは、正当な理由に基づいて分割した場合を除き、各契約の合計額で判断されます。また、注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格(運送費がかかる場合は運送費も)を請負代金に加えた額で判断します。

「500万円を少し下回るように契約を分けた」というやり方は通用しません。

なお、軽微な工事であっても、解体工事業者登録や浄化槽工事業者登録など、別に登録が必要になる工事があります。

許可を取るための4つの要件

建設業許可を受けるには、次の4つを満たす必要があります。

要件内容
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力建設業の経営経験がある方が常勤でいること
営業所技術者等(従来の専任技術者)資格または実務経験のある技術者を営業所ごとに専任で置くこと
誠実性請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
財産的基礎等請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があること

それぞれの詳しい内容は建設業許可の4つの要件とは?経管・技術者・財産的基礎を解説で解説しています。

実務でつまずくのは、多くの場合ここではありません。要件そのものは満たしているのに、それを書類でどう示すかで行き詰まるのです。この点は後ほど詳しくお伝えします。

申請先は「主たる営業所がどこにあるか」で決まります

愛知県知事許可の申請先は、県内で一つではありません。主たる営業所の所在地によって、10か所の窓口に分かれています。

工事をどこで行うかは関係ありません。あくまで営業所の場所で決まります。

主たる営業所の所在地申請先・電話番号
名古屋市愛知県都市・交通局都市基盤部都市総務課建設業・不動産業室(自治センター2階)
TEL:052-954-6503
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡、西春日井郡尾張建設事務所
TEL:052-961-4409
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市、丹羽郡一宮建設事務所
TEL:0586-72-1465
津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡海部建設事務所
TEL:0567-24-2141
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、知多郡知多建設事務所
TEL:0569-21-3233
岡崎市、西尾市、額田郡西三河建設事務所
TEL:0564-27-2745
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所
TEL:0566-82-3114
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所
TEL:0565-35-9312
新城市、北設楽郡新城設楽建設事務所
TEL:0536-23-5111
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所
TEL:0532-52-1312

名古屋市内に主たる営業所がある場合は、市役所ではなく県庁が窓口になります。この点は名古屋市の建設業許可|申請先は愛知県庁・費用と期間の目安でも詳しく解説しています。

なお、愛知県内にのみ営業所がある場合は愛知県知事許可、他の都道府県にも営業所を設ける場合は国土交通大臣許可になります。違いは知事許可と大臣許可の違い|どちらが必要かの判断と申請の流れをご覧ください。

費用はいくらかかるか

費用は、県に納める法定費用と、行政書士に依頼する場合の報酬に分かれます。この2つは性質が違いますので、分けて考えてください。

県に納める法定費用

申請の種類愛知県知事許可
新規9万円
更新5万円
業種追加(許可区分が同一のものに限る)5万円

納付は愛知県収入証紙またはキャッシュレス決済によります。

ここで気をつけていただきたいのが、この手数料は許可が下りなくても返ってこないという点です。愛知県手数料条例第6条により、申請を取り下げた場合や不許可となった場合でも還付されません。

要件を満たしているかどうかを事前にしっかり確認することが、結果的に費用の無駄を防ぎます。

行政書士に依頼する場合の報酬

法定費用とは別に、行政書士への報酬がかかります。金額は事務所によって異なりますが、新規の知事許可(一般建設業)で10万円から20万円程度が一つの目安です。

要件の証明が難しいケースでは、別途費用がかかることもあります。見積りの段階で、どこまでが基本料金に含まれるのかを確認しておくと安心です。

当事務所の料金はサービス内容・料金のページで公開しています。費用の全体像は建設業許可の費用まとめ|申請・更新・代行の相場を一覧で解説もあわせてご覧ください。

どれくらい時間がかかるか

「元請に○月までに許可を取ると伝えている」という方に、最も知っておいていただきたいのがこの点です。

愛知県の申請は仮受付と本受付の2段階

愛知県では窓口での対面審査を行っておらず、次の流れで進みます。

  1. 仮受付(郵送・投函・窓口で書類を預ける)
  2. 内容確認
  3. 連絡・補正
  4. 本受付(愛知県収入証紙を納めるため来庁)
  5. 審査・補正
  6. 許可

標準処理期間は、行政庁の休日を除いて受付後23日とされています。

ただしこれは本受付が済んでからの期間です。仮受付の段階で書類に不備があれば、その補正にかかる時間は別に必要になります。

全体では3〜4か月程度をみておいてください

書類を出してから1か月で許可が下りる、という意味ではありません。

要件の確認、書類集め、補正のやり取り、本受付、そこからの審査という全体を通すと、書類の準備を含めておおむね3〜4か月程度をみておくのが現実的です。仮受付から許可が下りるまでだけでも、2か月程度はかかります。

期限が決まっているなら、その時点で動き始めてください。書類を集め始めてからでは間に合わないこともあります。

ポイント:許可が必要になる時期が決まっているなら、書類を集め始める前の段階でご相談ください。要件を満たすかどうかの見通しが立てば、そこから逆算した準備ができます。

ここからが本題です。愛知県ならではの取り扱い

ここまでは、どの都道府県でもおおむね共通する話です。

ここからお伝えするのは、愛知県の手引きに書かれている、他県では見かけない取り扱いです。手引きに書いてあることですが、初めて読む方が正確に理解するのは簡単ではありません。

そして、ここを知っているかどうかで、集める書類の量も、認められる経験年数も変わります。

経営経験の請負確認方法は3通りあります

経営業務の管理責任者の要件を満たすには、建設業を営んでいた経験を証明する必要があります。このとき、実際に工事を請けていたことを契約書などで示します。

問題は、何件分の資料を集めればよいのかが、状況によって変わることです。愛知県の手引きでは3通りの方法が示されています。

確認方法どんな場合に使えるか5年分の目安
年1件個人事業主で確定申告書から年間を通じて建設業を営んでいたことが明らかな場合、または法人役員で登記事項証明書の目的欄にその業種の記載がある場合5件
12か月を超えない間隔で確認上記に当てはまらない場合。確認できた請負と次の請負の間隔が12か月以内であれば、その間を連続した期間として認めます6件から8件程度
月1件個人事業主で、確定申告前の期間の実績を使う場合最大60件

同じ5年を証明するのに、5件で済むこともあれば、60件必要になることもあります。

真ん中の方法は少しわかりにくいので補足します。たとえば令和2年12月、令和3年12月、令和4年12月と1年ごとに工事の資料があれば、その間隔は12か月なので連続した期間として認められます。ところが間隔が14か月空くと、そこは連続した期間として認められません。

登記事項証明書の目的欄についても注意点があります。目的が「管工事業」であれば管工事の実績で年1件の確認にできますが、目的が「給湯器の販売」だけの場合は年1件にできません。施工することまで目的に書かれている必要があります。

なお、様式第7号の証明者が同じ場合、これらの方法を混ぜて使うことはできません。ただし証明者が異なる場合、たとえば個人事業主としての経験と法人役員としての経験であれば、それぞれ別の方法を使うことが可能です。

実務経験は「その業種に従事した割合」で見られます

営業所技術者等を実務経験で証明する場合、愛知県ではその方の経歴のうち、許可を受けようとする業種にどれくらいの割合で従事していたかを申告します。建設業以外の職種を兼業している場合は、そのことも加味されます。

これが結果に直結します。

愛知県の手引きの記載例には、a社で10年、b社で5年、c社で6年勤務していて、その業種に従事した割合がいずれも50パーセントである場合の例が示されています。この場合、a社での10年間を書いても、証明できる年数は5年です。10年の実務経験を証明するには、それだけでは足りません。

「10年勤めてきたから大丈夫だろう」と考えて申請すると、経験年数が足りないと言われることになります。

実務経験の証明方法については建設業許可の実務経験は何年?数え方と証明書の書き方でも解説しています。

契約書などの中身にも条件があります

集めた資料が使えるかどうかにも決まりがあります。

愛知県の手引きでは、請負実績の確認に使う契約書等について、次のような点が示されています。

  • 現場名しか書かれておらず工事の内容が確認できないものは、資料として使えません。見積書など内容がわかるものを別に添える必要があります
  • 「修繕工事」「改修工事」としか書かれていない場合も、業種が特定できないため、内容がわかる資料の添付が必要です
  • いわゆる「人工出し」や「応援」などの常用工事、建設資材の販売の実績は、建設業の経営経験になりません

最後の点は特に注意が必要です。書面上、人工代しか計上されていない場合や、資材代だけで工賃が表示されていない場合は、それだけでは請負工事の実績として扱えないとされています。

長く仕事を続けてこられた方ほど、手元にある書類がこうした形になっていることがあります。集めてから使えないと分かるより、先に何が使えるかを仕分けるほうが確実です。

手引きを読んでも判断が難しい理由

ここまで見ていただいたとおり、愛知県の取り扱いは細かく分かれています。

どの確認方法が使えるのか、手元の資料は使えるのか、割合を加味すると何年分になるのか。これらは手引きに書かれてはいますが、自分のケースがどれに当たるかを正しく当てはめるには、経験がものを言います。

日々の現場を回しながらこれを読み解くのは、率直に申し上げて負担が大きいと思います。

電子申請という選択肢

愛知県では、令和5年1月10日から国土交通省の建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を通じた電子申請ができるようになっています(認可申請など一部の手続きを除く)。

ただし、実際にはまだ窓口や郵送による申請のほうが多いのが現状です。電子申請には事前の準備も必要になりますので、初めて許可を取る方は、まず紙の申請で考えておくとよいでしょう。

手引きの入手方法

愛知県の建設業許可申請の手引きは、県のWebページから無料でダウンロードできます。

  • 建設業許可申請の手引(申請手続編):要件、必要書類、確認資料、提出先などの全体
  • 建設業許可申請の手引(申請書記載例編):各様式の具体的な書き方

申請書の様式もあわせてダウンロードできます。まずは申請手続編に目を通し、自社が要件を満たしそうかを確認するところから始めてください。

許可を取った後にも手続きがあります

許可の有効期間は5年間です。取得して終わりではありません。

  • 毎年の事業年度終了届(決算変更届):毎事業年度が終わってから4か月以内に提出します
  • 5年ごとの更新:許可期限が満了する日の30日前までに申請します(3か月前から受付が始まります)

事業年度終了届(決算変更届)を出していないと、更新の手続きが進められません。数年分溜めてしまい、更新の期限が迫ってから慌てるケースが実際にあります。

詳しくは事業年度終了届(決算変更届)とは?4か月の期限と必要書類と建設業許可の更新は5年ごと|必要書類と期限切れの防ぎ方をご覧ください。

まとめ

  • 軽微な建設工事(建築一式工事は1,500万円未満など、それ以外は500万円未満)だけを請ける場合、許可は不要です。ただし契約の分割や注文者提供材料は合算して判断されます
  • 愛知県知事許可の申請先は、主たる営業所の所在地により県庁と9つの建設事務所の計10か所に分かれています
  • 法定費用は新規9万円、更新・業種追加5万円です。取り下げても不許可でも還付されません
  • 標準処理期間は本受付後23日ですが、仮受付から許可までで2か月程度、書類の準備を含めた全体では3〜4か月程度をみておいてください
  • 愛知県には経営経験の請負確認方法が3通りあること、実務経験は業種に従事した割合で見られることなど、独自の取り扱いがあります
  • 人工出しや応援、資材販売の実績は経営経験として認められません。手元の書類が使えるかどうかを先に確認してください

愛知建設業許可サポートオフィス|やまじ行政書士事務所が選ばれる理由

  • 名古屋市に事務所を構え、愛知県の建設業許可を専門に扱ってきました
  • 愛知県独自の取り扱いを踏まえて、どの証明方法が使えるかを判断します
  • 要件を満たすかどうかの見通しを、無料でご相談いただけます

元請から許可を求められている、期限が決まっている、という場合は、書類を集め始める前の段階でご相談ください。手元にある資料で何年分を証明できるのかが分かれば、そこから逆算した準備ができます。

土日祝日や夜間のご相談にも対応しております。現場が忙しくて平日の日中に時間が取れない方も、お気軽にお問い合わせください。

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