「建設業許可を取りたいが、どこに申請すればいいのか分からない」
「申請の代行は誰に頼めばいいのか」
「顧問税理士に頼めるのか、それとも行政書士なのか」
建設業許可の取得を考え始めた方から、よくいただく質問です。申請書類の話に入る前に、まず「どこに出すのか」「誰に頼めるのか」という出発点でつまずいてしまうケースは少なくありません。
この記事では、建設業許可の申請先(提出先の役所)がどこなのか、申請の代行を頼めるのは誰なのかを法律の根拠とあわせて整理したうえで、自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合の判断基準までまとめます。
結論:申請先は「役所」、代行を業として頼めるのは「行政書士」
先に結論をまとめます。
- 申請書の提出先は、営業所の所在地によって決まります。1つの都道府県内にのみ営業所があるなら都道府県の建設業担当窓口(知事許可)、2つ以上の都道府県に営業所があるなら主たる営業所を管轄する地方整備局(大臣許可)です。
- 申請書類の作成を、報酬を得て業として行えるのは行政書士だけです(行政書士法第19条第1項。弁護士など他の法律に定めがある場合を除きます)。税理士・社会保険労務士・コンサルタント会社に頼むことはできません。
- 自分で申請することも可能です。自社の役員や従業員が自社の申請書類を作成することは、法律上問題ありません。
つまり「誰に頼むか」の選択肢は、実質的に「行政書士に依頼する」か「自分で申請する」かの二択です。以下、順に説明します。
建設業許可はどこに申請する?
まず提出先です。建設業許可の申請先は、営業所をどこに置いているかで決まります(建設業法第3条第1項)。
知事許可:都道府県の建設業担当窓口
1つの都道府県内にのみ営業所を置く場合は、その都道府県知事の許可(知事許可)となり、都道府県の建設業担当窓口に申請します。窓口の名称や場所は都道府県によって異なります。
たとえば愛知県の場合、主たる営業所が名古屋市内にあれば県庁の「愛知県都市・交通局都市基盤部都市総務課建設業・不動産業室」、名古屋市以外にあれば管轄の各建設事務所総務課が提出先です。
審査にかかる期間も都道府県ごとに定められており、愛知県では紙の申請の場合、行政庁の休日を除き受付後23日が標準処理期間とされています。書類の準備期間を含めると、思い立ってから許可取得まで2〜3か月程度は見ておきたいところです。
大臣許可:主たる営業所を管轄する地方整備局
2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は、国土交通大臣の許可(大臣許可)となり、主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局(愛知県なら中部地方整備局)に申請します。
大臣許可の標準的な審査期間は、申請書類を地方整備局に提出してからおおむね90日程度とされており、知事許可より長くかかります。
電子申請(JCIP)も利用できる
2023年1月から、国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」による電子申請が始まっており、知事許可・大臣許可のどちらも対象です(利用にはGビズIDが必要です)。窓口に出向かずに申請できる一方、添付書類のデータ準備など慣れが必要な部分もあり、電子申請の場合の標準処理期間を紙の申請と別に定めている都道府県もあります(愛知県の電子申請は書類到達日から38日間(県の休日を除く))。
なお、どの窓口に申請するかは営業所の所在地で機械的に決まる制度上の区分であり、申請者が選べるものではありません。「どこに申請するか」で迷う必要はなく、実際に考えるべきは「申請書類を誰が作るか」です。
申請書類の作成を業として頼めるのは行政書士だけ
次に「誰に頼めるか」です。ここは法律で明確に決まっています。
行政書士に頼めること
官公署に提出する書類の作成を、他人の依頼を受け報酬を得て業として行えるのは、行政書士(行政書士法人を含む)だけと定められています(行政書士法第1条の3・第19条第1項。弁護士など他の法律に定めがある場合を除きます)。建設業許可の申請書類はまさに「官公署に提出する書類」であり、その作成代行は行政書士の業務です。あわせて、作成した申請書類を役所に提出する手続きの代理も、行政書士が業として行える事務とされています(同法第1条の4)。
行政書士に依頼した場合、一般的には次のことを任せられます。
- 経営業務の管理責任者・営業所技術者等(従来の専任技術者)の要件を満たすかどうかの事前確認
- 申請書類一式の作成
- 登記事項証明書・登記されていないことの証明書・身分証明書など公的書類の取得代行
- 申請窓口への提出と、不備があった場合の補正対応
税理士・社会保険労務士・コンサルタント会社には頼めない
「顧問税理士がいるので、ついでに頼めないか」という相談をよく受けますが、税理士や社会保険労務士に建設業許可の申請書類の作成を頼むことはできません。税理士には税務、社会保険労務士には労働・社会保険というそれぞれの専門業務があり、建設業許可の申請書類の作成はどちらの業務範囲にも含まれていないためです。
経営コンサルタント会社や「許可取得サポート」をうたう業者も同様です。行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として申請書類を作成することは行政書士法で禁止されており、違反した場合は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金という罰則があります(行政書士法第21条の2)。
この点は、2026年1月施行の改正行政書士法で条文上も明確になりました。「手数料」「コンサルタント料」と名目を変えても、他人の依頼を受けて対価を得て業として官公署提出書類を作成すれば違法です。
無資格の「代行業者」に注意
相場より大幅に安い料金で「申請代行します」とうたう業者を見かけた場合は、行政書士(または行政書士法人)であるかどうかをまず確認してください。行政書士であれば、事務所名・所属する行政書士会・登録番号が明示されているはずです。
無資格の業者に依頼した場合、上記のとおり業者側が行政書士法違反となるだけでなく、依頼した側にも実害が及びます。要件の確認が不十分なまま申請が進んで不許可になったり、書類の内容に誤りがあったりしても、申請の不利益を受けるのは申請者本人です。
自社の役員・従業員が書類を作るのは問題ない
一方で、自社の役員や従業員が、自社の申請書類を作成することは法律上問題ありません。行政書士法が禁じているのは「他人の依頼を受け、報酬を得て、業として」書類を作成することであり、自社のための書類作成はこれに当たらないためです。
つまり、頼み先を外に求めるなら行政書士一択で、あとは自社でやるかどうかを決めるだけ、ということになります。
自分で申請する場合の流れと負担
自分で申請する場合、大まかな流れは次のとおりです。
- 都道府県の手引きを読み、許可の区分(知事/大臣、一般/特定)と申請する業種を確定する
- 経営業務の管理責任者・営業所技術者等の要件を満たすか、証明資料とあわせて確認する
- 登記事項証明書・登記されていないことの証明書・身分証明書などの公的書類を集める
- 申請書類一式を作成する
- 窓口に提出し、不備があれば補正する
費用面では、法定費用(知事許可の新規申請なら9万円)と書類の取得実費だけで済み、行政書士報酬はかかりません。
一方で、負担が集中するのが2の要件確認です。経営業務の管理責任者は、建設業に関する経営経験(役員としての経験5年以上など)を持つ人が常勤で在籍していることが要件です。営業所技術者等も同様に、資格または実務経験の要件を満たす人が営業所に常勤で在籍していなければなりません。難しいのは、この経験をどの書類で証明するかの判断です。たとえば経営経験5年を証明する場合、どの期間をどの資料(登記事項証明書・確定申告書など)で裏付けるかは都道府県の手引きを読み込んだうえでの判断になり、数え方を誤ると申請そのものが空振りになります。
書類集めや窓口対応は平日に動く必要があるため、現場と並行して進める場合はスケジュールに余裕を持たせることも欠かせません。「書き方が分からない」より「要件を証明する資料が揃わない」「平日に時間が取れない」でつまずくケースが多い、というのが実情です。
行政書士に依頼する場合の費用の目安
行政書士に依頼する場合の費用は、誰が申請してもかかる法定費用と、事務所ごとに異なる行政書士報酬に分かれます。新規の知事許可(一般)であれば、法定費用9万円に加えて、行政書士報酬の相場は10万円〜20万円程度です。大臣許可の新規の場合は、法定費用が登録免許税15万円となり、報酬の相場も15万円〜25万円程度に上がります。
手続きの種類ごとの費用の全体像は、建設業許可の費用まとめ|申請・更新・代行の相場で詳しく整理しています。依頼する事務所の選び方や依頼後の流れは建設業許可を行政書士に頼む費用と選び方にまとめました。
では、報酬を払って何が得られるのか。書類作成の手間が減るのはもちろんですが、実務上大きいのは申請前に要件を満たすかどうかの見極めがつくことです。要件を満たさないまま準備を進めてしまう無駄を避けられる点は、費用に見合う価値があるかを判断する際の軸になります。
自分で申請するか、行政書士に頼むか:3つの質問で判断
どちらを選ぶべきかは、次の3つの質問で考えると判断しやすくなります。
質問1:要件を満たすことを、どの書類で証明するか説明できるか
経営業務の管理責任者・営業所技術者等の要件について、「誰が・どの経験や資格で・どの書類で証明するか」を具体的に説明できるなら、自分で申請するハードルはかなり下がります。国家資格で証明できるケースは比較的シンプルです。
逆に、実務経験で証明する必要がある場合(過去の工事請負契約書や注文書などを年数分揃える作業が発生することがあります)や、経営経験の年数の数え方に迷いがある場合は、判断を誤ると準備が振り出しに戻るため、着手前に行政書士に相談する価値があります。
質問2:許可が必要になる期限は決まっているか
「元請から○月までに許可を取るよう求められている」「請負代金500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事の話が来ている」など期限が決まっている場合は、書類の不備や要件確認のやり直しによる遅れがそのまま失注につながりかねません。期限がタイトなほど、依頼のメリットは大きくなります。
期限に特段の事情がなく、時間をかけられるのであれば、自分で申請する選択肢は十分現実的です。
質問3:平日に役所・法務局を回る時間を確保できるか
公的書類の取得や窓口への提出・補正対応は平日に動く必要があります。現場仕事と並行して平日の時間を確保するのが難しい場合、手続きが長期化しがちです。自社に事務担当者がいて平日に動けるかどうかも、判断材料になります。
3つの質問のうち1つでも「難しい」と感じるものがあれば、まず行政書士の無料相談で要件の見立てだけ確認し、そのうえで自分で申請するか依頼するかを決める、という進め方もあります。
よくある質問
Q. 顧問税理士に建設業許可の申請をお願いできますか。
できません。建設業許可の申請書類の作成を業として行えるのは行政書士です。決算書の作成など税理士の業務と隣接する部分はありますが、申請書類の作成・提出は行政書士に依頼するか、自社で行うことになります。なお、顧問税理士が行政書士登録も受けている場合は、行政書士として依頼できます。
Q. 「許可取得サポート」をうたうコンサルタント会社に頼んでも大丈夫ですか。
行政書士資格の有無を確認してください。行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、名目を問わず対価を受け取って業として申請書類を作成することは行政書士法で禁止されています。登録の有無は日本行政書士会連合会の行政書士検索でも確認でき、事務所名や登録番号を出さない業者は避けるべきです。
Q. 自分で申請を進めて、途中から行政書士に切り替えることはできますか。
できます。要件の確認だけ相談する、書類が揃わない部分だけ相談する、といった段階からの依頼も可能です。窓口で補正を求められて手続きが止まってしまった段階でのご相談も珍しくありません。
Q. 申請窓口で書き方を教えてもらえますか。
手引きや様式は各都道府県が公開しており、窓口で制度や様式についての説明を受けることはできます。ただし、書類の作成そのものや、要件を満たすかどうかの実質的な判断は申請者側で行う必要があります。
Q. 行政書士なら、どの事務所に頼んでも同じですか。
行政書士の業務範囲は広く、事務所ごとに専門分野が異なります。建設業許可の取扱実績が多い事務所を選ぶことで、要件確認の精度や手続きのスピードに差が出ます。選び方のポイントは建設業許可を行政書士に頼む費用と選び方で解説しています。
まとめ
- 申請書の提出先は営業所の所在地で決まります。1つの都道府県内なら都道府県の建設業担当窓口(知事許可)、2つ以上の都道府県なら主たる営業所を管轄する地方整備局(大臣許可)です。
- 申請書類の作成を、報酬を得て業として行えるのは行政書士だけです(弁護士など他の法律に定めがある場合を除きます)。税理士・社会保険労務士・無資格のコンサルタント会社には頼めません。
- 自分で(自社で)申請することも可能です。判断の分かれ目は、要件の証明方法を説明できるか、期限があるか、平日に動けるか、の3点です。
ポイント:建設業許可の申請は「行政書士に依頼する」か「自分で申請する」かの二択です。要件をどの書類で証明するかが明確で、平日に動く時間があるなら自分での申請も現実的ですが、実務経験での証明や期限がある場合は、着手前に行政書士へ相談する方が結果的に早く確実です。
愛知建設業許可サポートオフィス|やまじ行政書士事務所が選ばれる理由
- 建設業許可を専門とする行政書士が、要件の確認から申請書類の作成・提出まで一貫して対応する
- 「自分で申請するか迷っている」段階からの相談が可能。無料の要件診断で、取得の見込みを確認してから依頼するかどうかを決められる
- 取得後の事業年度終了届(決算変更届)・5年ごとの更新期限の管理まで見据えたサポートができる
「要件を満たしているか確認したい」「途中まで自分で進めたが行き詰まった」という段階のご相談も歓迎です。無料の要件診断から対応しています。
やまじ行政書士事務所
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