建設業許可の財産的基礎等要件とは
建設業許可の財産的基礎等要件とは、建設業者が請負契約を遂行するために十分な財産的基盤や金銭的信用を持っているかを確認するための要件です。
財産的基礎等要件は、建設業者の経営基盤がきちんとしており、適切な施工能力を備えていることを示すために重要な要件になります。
そのため、建設業許可を取得するためには必ずこの要件を満たさなくてはいけません。
財産的基礎等要件は「一般建設業」と「特定建設業」で内容が異なるため、それぞれの要件について理解しておくことが重要です。
この記事では、一般建設業と特定建設業の財産的基礎等要件の違いや、要件を証明するために必要な書類について詳しく解説します。
建設業許可の取得を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
一般建設業の財産的基礎の要件|3つの要件
一般建設業の財産的基礎等の要件を満たすためには、以下のいずれかに該当する必要があります。
ここからは、それぞれの要件について細かく解説していきます。
また一般建設業の財産的基礎等要件に関する注意点も合わせて説明します。
一般建設業の財産的要件①|自己資本が500万円以上である
まずは「自己資本が500万円以上であること」という要件について解説します。
この要件について、「愛知県の建設業許可申請の手引き」では以下のように書かれています。
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申請日の直前の決算において、自己資本(※)が500万円以上であること
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引用:愛知県の建設業許可申請の手引き
建設業許可の手引きに記載されている「自己資本」とは、貸借対照表の純資産合計の額を指します。
この「貸借対照表」とは、企業の財政状態を表す表のことで、企業の資産・負債・純資産が記載されています。
「純資産の部」とは貸借対照表の中の企業の自己資本を表す部分で、以下のような項目が含まれます。
- 資本金
- 資本剰余金
- 利益剰余金
- 自己株式(控除項目)
- その他の包括利益累計額
これらを合計した額が自己資本です。
一般建設業の財産的要件②|500万円以上の資金調達能力がある
次に「500万円以上の資金調達能力がある」という要件について話します。
この要件を満たすためには、以下のいずれかの証明書を提出する必要があります。
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金融機関発行の「500万円以上の預金残高証明書」
基準日が申請直前の4週間以内のもの。初日算入 -
金融機関発行の「500万円以上の融資証明書」
発行日が申請直前の4週間以内のもの。初日算入
こちらに記載されている基準日とは、証明書が示す内容(例:預金残高や融資額)が有効であるとみなされる特定の日を指します。
つまり、基準日はその日における財務状況を示している日付のことです。
一方で発行日とは、証明書が実際に作成され発行された日を指します。
これらの書類は、主要取引金融機関名(様式第20号の3)に記載のある金融機関から取得してください。
一般建設業の財産的要件③|許可申請直前の5年間の営業実績がある
最後に「許可申請直前の5年間の営業実績がある」という要件について解説します。
この要件は、一般建設業許可をすでに受けている方を対象としたものです。
もしすでに一般建設業許可を取得している場合、直前5年間継続して営業していた実績があれば、要件を満たすことが出来ます。
建設業許可の有効期間が5年とされているため、一度許可を取得すれば、更新申請時に財産的基礎の条件を満たしているとみなされます。
そのため、更新申請の際には、改めて財産面の審査や預貯金残高の提出は不要とされています。
これにより、許可更新手続きがスムーズに進められます
【注意】自己資本と資金調達能力は合算できない
一般建設業許可の取得をするためには、ここまで解説した要件のいずれかに該当している必要があります。
ただしこれらの要件について「自己資本」と「資金調達能力」を合算して要件を満たすことはできませんので、注意してください。
それぞれの要件は、建設業者が十分な経済的基盤を持ち、安定して事業を遂行できるかを判断するために設けられています。
「自己資本」と「資金調達能力」は以下のようにそれぞれ異なる性質の指標であり、経営の健全性を示すものです。
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自己資本・・・企業の純粋な資産であり、長期的な財務健全性を示す
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資金調達能力・・・企業が迅速に資金調達できる力を示し、短期的な財務能力を証明する
そのため、企業が「300万円の自己資本」と「200万円の資金調達能力」を有している場合でも、合計して500万円として考えることはできません。
特定建設業の財産的基礎の要件
特定建設業の場合は、元請業者として大規模な工事を請け負うことが多いため、財産的基礎の要件が一般建設業よりも厳しくなっています。
特定建設業の財産的基礎の要件を満たすためには、以下の全てに該当しなくてはいけません。
ここからは、特定建設業の財産的基礎のそれぞれの要件について解説していきます。
特定建設業の財産的要件①|欠損額が資本金の額の20%を超えていない
まずは「欠損額が資本金の額の20%を超えていない」という内容について解説していきます。
欠損額について、愛知県の建設業許可申請手引きでは以下のように説明されています。
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「欠損の額」とは、法人にあっては貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合にその額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額を、個人にあっては事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいいます。
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引用:愛知県|建設業許可申請の手引き
分かりやすく解説すると「欠損の額」とは、法人の場合貸借対照表の「繰越利益剰余金」が赤字であり、そのマイナスの値が「資本余剰金+利益準備金+任意積立金」の値を上回っている額のことです。
つまり、欠損の額が資本金の20%を超えていなければこの要件をクリアできます。
特定建設業の財産的要件②|流動比率が75%以上である
次に「流動比率が75%以上である」という要件について解説します。
流動比率とは、企業の短期的な支払い能力を示す指標のことで、以下のように算出します。
例えば、流動資産が100万円、流動負債が50万円の企業の場合、流動比率は以下のように計算できます。
この200%という数値が、その企業の短期的な支払能力を示しています。
実際に要件を満たすためには、この数値が75%以上であれば問題ありません。
特定建設業の財産的要件③|資本金が2,000万円以上+自己資本が4,000万円以上
最後に「資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること」という要件について解説します。
資本金額とは、企業が設立時に株主などから提供された資金を指し、事業活動の元手となるもので、企業の信頼性や規模を示す指標としても用いられます。
この要件では、特定建設業としての信頼性と財務的な安定性を確保するために、最低2,000万円の資本金が必要になります。
この要件が設けられている背景には、特定建設業者が大規模な工事を元請として受注する際に、十分な資金力を持ち、長期的な視点で安定した事業運営を行う能力があることを確認する必要があるためです。
また、資本金と自己資本の両方に一定の基準を設けることで、短期的な資金調達能力だけでなく、長期的な経営の安定性を確保することが可能です。
財産的基礎の要件を満たしていることを証明するための書類【愛知県編】
ここまでは財産的基礎の要件について詳しく解説してきました。
ここからは、財産的基礎の要件を満たしていることを証明するための確認書類について解説していきます。
財産的基礎の要件の確認書類は以下の通りです。
| 一般建設業 | a,bのどちらかを提出 | |
| a |
主要取引金融機関名に記載のある金融機関発行の「500万円以上の預金残高証明書」 (基準日が申請直前4週間以内のもの。初日算入) |
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| b |
主要取引金融機関名に記載のある金融機関発行の「500万円以上の融資証明書」 (発行日が申請直前4週間以内のもの。初日算入) |
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| 特定建設業 |
貸借対照表(様式第15号)(法人) 貸借対照表(様式第18号)(個人事業主) |
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もし残高証明書が2枚以上になる場合は、基準日が同じものでなければなりません。
また、直前の決算期において資本金の要件のみを満たさないが、増資を行なうことによって要件を満たすことになった場合は、「資本金」については、この要件を満たしているものとして扱います。
【まとめ】愛知県で建設業許可を取得したい方はやまじ行政書士事務所へ!
今回は、建設業許可の「財産的基礎の要件」について解説しました。
財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で異なります。
| 一般建設業 | 下記のいずれかに該当すること |
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| 特定建設業 | 申請日、直前の決算において、下記基準をすべて満たすこと |
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実際に建設業許可の取得をする際には、「財産的基礎の要件」以外にも満たさなくていけない要件があります。
そのため、これから建設業許可の取得をする予定の方は、先にプロの要件診断を受けることをおすすめします。
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